KYM

Kobe, Hyogo/Jan. 2008
 神戸の東、芦屋との市境に近く、震災の次の年に出来た駅から徒歩5分の場所、90坪程の土地に新しいタイプの賃貸集合住宅を計画する。
 世の中の殆どの賃貸集合住宅は、ワンルームタイプのモノかファミリータイプのモノしか存在していない。
 ワンルームタイプのものは、学生か社会人になり立ての人などで埋め尽くされ、その殆どが容積いっぱいに出来るだけたくさんの戸数を確保し、「戸数×周辺平均家賃=収益」という前世紀からの数式で解かれた結果が反映されている。またファミリータイプのものは、殆どが平均1世帯の人数を満足させるという観点から2LDK以上の間取りで構成されている。
 このどちらにも所属していない、学生でもなり立ての社会人でもない1人もしくは2人暮らしの人が、いったいどんな暮らしを望んでいるのかをリサーチし計画した。その結果、家族構成や方角からの間取りではなく、住む人のこだわりを実現出来るスペースを設ける事にした。
 たとえば、そのスペースが、ブルーのインクを詰めた万年筆で航空会社の機内誌に新しく連載するコラムを書くワークスペースであったり、ホイットニー美術館で一目惚れしたマーク・ロスコの絵が飾られているギャラリーであったり・・・。
Photography:S.Yamashita

-->