KSP

Kyoto, Kyoto/Dec. 2010
 京都 四条河原町から市バスに乗って南禅寺、銀閣寺と幾つかのメジャーなお寺を過ぎた頃には都心に向かう通勤列車並みに混んでいたバスの中には漸く、緩やかな空気が流れ始めた。銀閣寺道から修学院道にかけて街路樹が続く白川通り。繁華街の喧騒は無く、落ち着いた独特の雰囲気が漂う北白川。ここが気に入って移り住む人が居ることも納得出来る。
 これまで何度かこの建物の改装計画が持ち上がったが、あまりにも広すぎるスペースに加え元々事務所として建てられた建物だったため、法的な問題をクリアーし集合住宅へ用途変更するには難しい部分があった。それから約1年、再びこの建物の計画が浮上した。今度は、全く新しい試みのシェアハウスとして用途変更を行う事になった。
 白川通りに面する建物の2階部分、40m x 23mの長方形、約900平米に2m角の正方形の窓が4m間隔で均等に配置されている。その窓に沿って専用スペースとなる20室 5タイプの居室とそれら居室に囲まれるように中央部分にシェアをする共用スペースを計画する。
 専用スペースの居室は、机とベッドと大きめのクローゼットを備えた約10平米のタイプと、それに洗面台をプラスした約15平米のタイプが大半を占め、専用の浴室を更にプラスした部屋が3室ほど用意されている。
 一方共用スペースには、冷蔵庫、IH、オーブン、炊飯器といった家電が2組、数種類の鍋、フライパン等調理器具が揃ったキッチン、ワイングラス、大皿から小皿、1通り揃ったカトラリー、大きなダイニングテーブル、そこから一段低い位置にL型のソファーが置かれたリビング。壁には、64インチのテレビ。その他浴室、シャワールーム、トイレ、コインランドリー、ヨガスタジオ、ビリヤード台、ホームバーまである。
 入居を希望する人は、物やスペースをシェアすることを目的としているのではなく、共用スペースをシェアすることで生まれる何かに期待しているのだ。もちろんムダの無い合理的な暮らしが其処にはある。
 時代の流れに即した新しい住まい方が始まろうとしている。
Photography:S.Yamashita

-->