F9B

神戸 三宮の駅から徒歩1分。
少し雑多としたエリアに建つ築40年を過ぎた雑居ビル。
今では少し珍しい色のタイルが通りに面して貼られ、そこにセンス良く開けられた窓。
形も成型で鉄骨階段が半地下から地上6階までを結んでいる。
平面プランもお手本のように出来上がっているのだが、如何せん古臭い感は否めない。
少しサビが出ているスパンドレルに薄グレーの鉄部、薄卵色の階段室の壁に水色ともグレーとも取れるエレベーターの扉。 どこか古い役所の雰囲気さえある。
日中は、歩行者天国になっている通りには多くの人が闊歩している。
しかし、テナントが付かない。
フロアーの半数が空いている。
初めてこの建物を訪れた時は、この無秩序さに驚いた。争うように主張する入居中のテナントの看板。これを残して空いているフロアーを埋め、できれば家賃をあげたい。なんとかしてほしいという要望
限られた予算でできることは、とにかく建物の前を通り過ぎる人たちを半階上のエレベータへと導くことと、周囲に負けない目に付く照明計画と温かみのある雰囲気を出すことだ。

そして竣工から1年が過ぎた頃、6フロアーの内3フロアー空室になっていたのが、全て埋まったとビルオーナーより喜びの連絡が入る。それもビルオーナーが望んでいた女性向けのテナントで全てが埋まったそうだ。目に見える結果は、何より嬉しい。


Photography
S.Yamashita