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Spring/2005

 既にファイルは、2冊目に入っている。1冊目のファイルには、様々な種類の土地の資料と、それに伴ういくつかの検討事項及び膨らみ続ける夢。それと現実が綴じられている。そのどれもが、どうしようもないこと、抽選にはずれたり、建築不可であったり、で終わっている。定期的に訪れていたそれらの候補地への週末のお出かけも徐々に間隔が開いてきた。寒さが増すにつれて・・・。
 願えばかなうモノ。降ってわいたとはまさにこの事。ファイルの最後の頁には、2年半前の2人の自己紹介が綴じられている。

02/Jun./2006

 降ってわいたように土地が見つかったと同時に、待望の家族が増え、ファイルが2冊目から3冊目になり、クライアントの誕生日に契約書がまとまり、本日無事地鎮祭。敷地には、家の形の縄張りと紅白の幕。それが船の形をしているとは、航海士のクライアントには言えない。

14/Jun./2006

 梅雨に入ったと知らせを聞いてから、一滴も雨が降っていない。カンカン照りの中、掘削。敷地の3面が道路に面している為か、敷地の大きさや高低差の感覚が狂う。建物はこの高低差を利用しての計画。

19/Jun./2006

 元々の地盤に盛り土をし、造成された土地は、遠い昔近くの川から流れてきたであろう砂の地盤を、さらに軟弱に仕上げている。その軟弱な地盤を改良する。セメントと土とを攪拌し、仕上げた地盤をキャタピラの付いた車両で往復し整地。表面には、綺麗な模様が出来上がっている。土地が出来上がったここからが本番。だが、しばらくは机上と工場での作業。

27/Jun./2006

 地盤改良を終え、整地された土地は、時には駐車場となる。右側に見えるのが、実はMSH。本日建て方中。TKHは本日鉄骨図面のチェックバック、鉄骨屋さん図面訂正中。数日違いで始まったこの現場。道路を挟んで、斜め向かいの姉妹屋敷。まさにスープの冷めない距離。

01/Jul./2006

 地盤改良を行った後、駐車場、掘削、捨てコンと地中障害もなく順調に進んでいると思っていたら、思わぬところからガス管が突出。宅内引き込み時に指示した場所とは違う。思わぬ事の連続。そのことを解決していくことが家を建てるということなのかもしれない。

12/Jul./2006

 オリジナルのキッチンを作る。これはこの計画がスタートしたと同時に掲げられた目標の1つ。平行四辺形のオリジナルキッチンは、言葉の通りアイランド型。その1/1の模型をクライアント自作。天板の高さ、シンクの大きさ、コンロの位置、全てを確認。これがオリジナルの醍醐味。

21/Jul./2006

 基礎配筋完了。水平に作った基礎は、微妙に高低差のある敷地をはっきりさせている。ブルーシートを掛けている部分が下がっている部分。道路際まで建物がせまっている。

25/Jul./2006

 アンカーセット。鉄骨の現場は、機械の製造現場に近い。アンカーをセットし、その上に鉄骨の柱が乗る。寸分の狂いのないように水糸を張り、精度を高めている。

26/Jul./2006

 炎天下の中、白髪の老人が腰をかがめ、田植えをしている訳ではない。コンクリート打設。昨日までは、工場で作られてきた部材を組み合わせ、非常に高い精度で組み立てている。が、最終建築は現場での作業が絶対発生する。神経質に張られた水糸は、足下の悪いコンクリートの中を歩く長靴に引っかかる。

29/Jul./2006

 外気温が30度を超えている。打設したてのコンクリートは発熱し、真夏日の太陽によって表面温度はさらに高くなっている。急激に乾燥しようとするコンクリートに水を撒き、収縮によるクラックを最小限に抑える。水を撒いた先から乾燥し始める。直ぐ隣にMSHの現場があるので、大工さんがマメに水撒きをしてくれる。助かる。

06/Aug./2006

 型枠が外され、土も戻され、鉄骨建て方を待つばかり。水やりの成果でコンクリートの表面には、さほど初期クラックも表れていない。いよいよ、いよいよ形になる。

09/Aug./2006

 台風がまとめて3つも発生。先週は、ずーっとこの先晴れと言わんばかりの週間天気予報が一変。9日は、雨60%。
 午前中からずーっと現場を眺めていた施主の腕は、真っ赤に。日が少し傾き掛けた頃、ほんの少し我が家を実感し始めたのかもしれない。本日上棟。

21/Aug./2006

 鉄骨のフレームには蜘蛛の巣のように母屋がかかり、天窓が開く箇所には、補強のフレームが付いた。多面体の屋根がかかる計画建物では、なかなか図面通りにはいかない。微妙にねじれている面を、職人の力量で少しずつ調節しながら全体のバランスを整えている。

29/Aug./2006

 蜘蛛の巣に合板を張り、屋根の下地を作っていく。建物の外観が少しずつ見えてくる。複雑に組み合わさった多面体の建物。勾配の違う屋根と屋根との取り合いを、大工さんが現場で調節しながら組み立てていく。それを追いかけて屋根屋さんが相談にやってくる。どうすれば、綺麗な屋根が葺けるか。

09/Sep./2006

 敷地の3面が道路に接している計画地では、建物の3面が道路境界線まで迫っている。その境界にコンクリートの基礎が立ち上がる。その3面の道路に勾配がある。屋根の複雑な形が基礎部分でも起こっている。

13/Sep./2006

 鉄骨で骨組みは作られているが、その他の部分は木造と同じように木で作られている。鉄骨の梁に木の梁がかかる。そのコンビネーションが美しい。鉄骨にかかる水平ブレースが木の梁を一直線で貫通していく。絵に描いたように出来上がっている。

21/Sep./2006

 床が鉄骨と木の組み合わせ方に工夫したように、壁にも幾つかの仕掛けがある。その仕掛けが決まらないと外壁が作れない。1/5で検討した事を現場で1/1で検証する。長時間の打合せには、椅子と机が必需品。

28/Sep./2006

 不安定な天気の合間を縫って屋根工事。5面に折れ曲がった屋根の勾配はすべて異なる。その屋根を平葺きで葺く。ラインが通るようにするには、微妙に1枚1枚の大きさを変えなければならない。思うように作業が進まない。天気も怪しい。

05/Oct./2006

 上階の作業を行うには、やはり階段があった方が便利だ。作業用の仮設の階段を設置。鉄骨の支柱に取り付けてある、本設用のブラケットを利用している。クライアントも気にしていた螺旋階段の不自由さを体感し、問題なさそうと。

12/Oct./2006

 鉄骨の建物だが木で間柱等を設置するので、シロアリ対策を施す。この薬品がコンクリート打ち放し面にしみ出さないか心配していたが、問題なさそう。はす向かいのMSHが竣工間際でTKHの大工さんも応援にかり出されている。

19/Oct./2006

 鉄骨のフレームに木で床・壁を作っていく。鉄骨造のような木造のような。ハイブリット。階段も同様。鉄骨の支柱に木の階段がくる。その階段の断面が見える、建物を縦断する細長い窓。人が上り下りする動きがコマ送りのように見えてくる。はず。

26/Oct./2006

 この空間はずいぶんと検討した。壁というか屋根というか45度の角度で倒れ込んでくるモノとどうやって付き合うか、付き合えるのか・・・。ロッテルダムにあるキュービックハウスでほぼ同じモノを体感し、問題ないことを確認し、クライアントに説明したが、体感した我々の言葉がどこまで伝わっているか・・・。その時の説明がようやくここで体感できる。

02/Nov./2006

 無機質な外壁を人の手で手間を掛けて施工すると、こうまで愛嬌が出るモノなのか・・・。不思議なモノだ。外壁の板のほんの少しずつ異なる色合いが、動物のようにさえ見えてくる。堅い甲羅を持ったアルマジロが丸くなったように見えてくる。

06/Nov./2006

 不思議な形をしたキッチン。今回はクライアントが原寸大の模型をつくる意気込み。それの製品検査。事前に図面で幾らチェックしても、この検査は怠れない。出来上がっているモノは、図面を参考して作ったというと、怒られるかもしれないが、作り手側の考えが盛り込まれている。創り手と作り手の最終調整がここで行われる。

10/Nov./2006

 浴室を構成するコンクリートブロックが積み上がり、防水を施している。防水した表面にモルタルでタイルの下地がつくられる。これまで床に散乱していたモノは、材木の切り屑が主だった室内に、突然砂が運び込まれる。上足の生活に慣れている我々にとっては、室内に砂の入ったバケツが運び込まれるたびに、冷や冷やする。こればかりは慣れない。

18/Nov./2006

 いよいよ施主施工。セルフビルド。この日までに揃えた道具を駆使しながら作業を進めていく。タイル貼りといっても、すぐに貼れるわけではない。この地球上の小さな浴室の中に水平な線を引くことから始まる。これが意外と難しい。その線が大切な基準線となり、全てのタイルの目地は、それに合わせることになる。

20/Nov./2006

 「ありがとう」と「オブリガード」どちらも同じ意味。前者が日本語で後者がポルトガル語。遠く離れた2つの国だが、意味は同じで響きも似ている。左がセメント板で右が板。全く素材は違うが、表情は似ている。隣同士に並んでも、しっくりくる。

24/Nov./2006

 土曜日の早朝にそれは静かにやってきた。夏の暑い日にタオルを首からかけて、実物大の模型まで作って検討したキッチン。建物の着工とほぼ同時に作り始めたキッチン。ようやくあるべき場所に設置。建物が出来上がる1ヶ月前に。

05/Dec./2006

 内装の塗装下地。複雑に折れ曲がった多面体。いろいろな角度、大きさの窓がその面にとりつき、いろいろな角度から光が差す。壁を舐めるような光、正面から当たる光。

11/Dec./2006

 クライアントの妻、イラストレーターのアトリエ。壁一面が計画的に割り付けられた目地と優しい木目の板が構成する。壁のどこにでもピンナップ出来るようにと。あまりにも美しいので少しためらうかもしれないが、家は使うもの。

14/Dec./2006

 計画当初から決まっていた建物へのアプローチの方法。前面道路からステップを数段下がっての玄関ポーチ。ステップに対し、少し斜に構えた玄関扉。腰の高さに植栽が植わる。面積としては非常に小さいが、重要な時間を費やす部分。これからいったい何人の人がこの建物に訪れこの部分を体感するのか・・・。

09/Jan./2007

 年始から大掃除をしているわけではない。施主施工の1つ、床のオイル塗りを遂行中。色々な人の手助けを受けながら身をもって体験している。体験することは、非常に重要で自分の家を自分でメンテナンスすることがこの先可能となる。非常に重要なこと。

16/Jan./2007

 室内の照明器具も全て取り付けられ、調整が施主施工と同時に行われている。縦に伸びる螺旋階段にもランダムに配置された照明器具が蛍のように輝いている。

20/Jan./2007

 ブラインドが取り付けられ、外から見た限りでは、完成したように見える。緩い勾配のある3面道路の敷地に発生する道路斜線で切り取られた塊。それを強調する為に水平に発生している目地。セメント板の自然な色で石のように見える。

26/Jan./2007

 ひっそりと佇む出来たての家。工務店の車もすっかり現場からは消え、完成したかのように見えるが、中では施主施工が続いている。斜めに切り取られた屋根の内側に塗装。納得がいくまで塗装する。

28/Jan./2007

 未完成、正しくは工務店の作業終了なので引き渡しという形になった。ここからは、施主施工が、再度始まる。始まるが、ここからは住みながらの工事となる。

14/Apr./2007

 食事会に誘われて出かけてみると、大きな鯉のぼりが上がっている。計画を始めた当初からのクライアントの夢。複雑に風向きを変える街中の風を大きな鯉が巧みに泳いでいる。