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Jan./2008 
 自然と家族が集まってくる場がある。夕飯の支度をしている横で末っ子が宿題を片付けている。そこには時間や曜日や季節によっては家族だけでなく、近所の仲間や仕事の同僚が集まってくる。人が集いやすい場というのは、建物の許容量だけではなく住み手の許容力によるところが大きいんだと思う。

 直接親の目が届かないロフトに届く陽だまりに、コツコツと作り上げている次男坊の成果を両親は知っている。見守るということは、そういうことなのかもしれない。

Dec./2006 
  神戸の中心部から北へ六甲山を抜け車で30分も走ると、風景が一変する。そこには、ほんの数十年前は何処にでもあった、ほとんどの人が思い浮かべる日本の懐かしい風景が今も残る。日本には、四季があり、その四季には、色々な色がある。人は、生まれてから数年内に見た色の数で、その人の一生持ち合わせる色のバリエーションが決まるらしい。ここで育った子供の色のバリエーションは、一体どれくらいになるのだろうか。

 この建物は、昭和の初期に農機小屋としてここではない別の場所に建てられていたらしい。いろいろと経緯を聞いたのだがそのどれもが最後に「らしい」という言葉で終わった。その小屋を今建っているここに移築して農機置き場に三分の一、駐車場に三分の一、物置に三分の一として使っていた。それを全てまとめて、家族5人の栖として用途変更する。
 計画を進めるためには、まず既存の建物の図面を作らなければならない。なんたって、いつ何処からやって来たかもはっきりしていないこの建物。しっかりした図面が保管されているはずはない。
 夏休みを利用してオープンデスクで集まってきた学生4人を引き連れ、朝から晩まで丸一日かけて実測。実測。天井裏に入ったり、床下に潜ったりしてドロドロになりながらの測量。夏の遅い西日がようやく軒先にかかり、その長い影の下でたっぷり結露したガラスコップの麦茶を飲みながら、終えた作業内容を確認。終日体を動かして、皆で何かをまとめた後の疲労感が心地良いのは、水田を渡る風の為だけでは無いと思う。

 大きな梁が何本もかかる4台分の駐車場だったスペースを、家族が集まるスペースにすることに。高い天井下には、建物本体とは別構造の入れ籠で水廻りを配置。その上をロフトスペースに。大きくかかる丸太の梁がロフトスペースを緩く3分割する。3人の子供のそれぞれの専用スペースとなる。その専用スペースに上がるために、それぞれの専用のハシゴが付いている。
 この入れ籠の部分と外壁周りを中心に耐震補強の合板を入れる。解体し補強出来るところとそうでないところを区別しバランス良く考えていく。もともと電気しか届いていなかった建物にガス、水道、排水の設備を設けなければならない。倉庫として建てられているため土台の位置が低い。新たな床レベルを土台よりも30センチ以上高くし、その懐を新しい配管スペースとして利用することにした。
 2階建ての建物の全てを大きく改装し、用途変更したわけではない。この家族が過ごすスペースと同じ大きさの、以前から有った土間は、そのまま利用することにした。そこは、季節ごとの農作物を干したり、3人の子供たちが毎日毎日生み出す膨大な洗濯物を干したりするのに有効利用されていたからだ。但し、移築の際おそらく邪魔だからという理由で取り除かれていた柱を、スチールパイプで作り洗濯物を干すロープを掛けやすいようにしておいた。

 この計画は、古い物を新しくすることが目的ではない。この家族が、この家族らしく生きていくための仕掛けを作り直したに過ぎない。

  

  

  

  

  

  

  

Aug./2006 
 母屋と改装前の農機小屋を繋いている部分。「ボロいから片付けたいと思わない」とクライアントが真実を吐いた。

 

 記憶に留まっている風景を壊してまで何かを行いたいという思いは、皆持ち合わせていなかった。