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May/2006
 ちょうどSOHOという言葉が、一般的に広まりつつあるころ、我々の事務所もアトリエと自宅が一緒だった。30代後半の夫婦は、随分前から扉の向こう側で待ちかまえていたかのように、約束した時間ぴったりにそのアトリエにやって来た。どのクライアントも同じだが、初めて会うこの時にどれだけ自分の事について語れるかが問われている。ほとんどの場合、いくつかの簡単で漠然とした質問に対する回答から話をふくらませていく。
 しばらくして、我々の事務所に設計監理を依頼する旨の連絡が入った。何が決め手となったのかは、特に聞いていない。

 いつものことだが設計の依頼はあったが、敷地はなかった。
 いくつか一緒に見て回って最終的にたどり着いた敷地は、道路よりも低く、そして全体が30度近い下り勾配。1980年代後半に開発された100坪近い敷地。クライアントは、夫婦共に責任ある仕事を持ち、週末にはどっしりとした疲労感から解放される空間を求めている。
 我々が一番最初に提案した案は、これとは全く違うものだった。全て平屋の円盤のような案だった。その案を見たクライアントからの歯に衣着せぬコメントに、しつこく食い下がることもなく最初の打ち合わせが終わった。それからしばらくして次に提案したモノを気に入ってからは早かった。

 北に向かって緩やかに上っている道路から6.5m×10.5mの長方形のシンプルな形をしている建物を5m離し、さらに12度東に振って配置されている。建物と道路との間には木製の橋が架けられ、それが駐車場2台分とアプローチを兼ねている。道路からは、建物の中の様子は全く分からない。玄関扉を開け、中に入ると正面にルーバーが見え、その奥には丸い天窓からの光が差し込む階段室。大きな扉を開けると、白色のタイル貼りのリビング。その空間と全く異なった世界が広がる和室がテラスを囲むように配されている。自然の残る森を深く切る川に沿って、テラスからの視界が抜けていくことで建物が12度振っている訳を知ることが出来る。階段を下りた先にはトーンの低い色の廊下があり、そこに差す足元からの小さな光が深い海に潜ったような感覚にさせる。廊下の突き当たりを曲がると、主寝室。朝日が差すココア色と白い壁に囲まれた部屋の大きな窓からは、目の前に森が広がる。大判のラスティックなタイル貼りの洗面所、浴室、トイレ。
 暖かい南の海に浮かぶヴィラで過ごしているような空間。

 敷地の余白部分に、クライアント自ら階段を作り、石を運び、少しずつ手を加え続けている。それは、当初の計画にはなかったことだ。その計画になかったことが、今は休日の新しい過ごし方になっている。